社内DXとは?進め方・推進する際のポイント・役立つツールを紹介
社内DX(デジタルトランスフォーメーション)は、企業でデジタル技術を導入し、ビジネスプロセスや組織文化を変革する取り組みです。これにより、業務の効率化、新しい価値の創造、そして企業全体の競争力の強化が期待されます。
ここでは、社内DXの概要、進め方や推進する際のポイント、役立つツールを紹介します。
社内DXとは
社内DXは、企業が内部プロセスや業務を効率化し、イノベーションを促進するためにデジタルテクノロジーを活用する取り組みです。これは単にITシステムを導入するだけでなく、組織文化やビジネスモデルの変革も含みます。
具体的には、クラウドサービス、コラボレーションツール、ビッグデータ分析ツール、AIなどのデジタルツールの導入により、定型業務やタスクを自動化し、作業効率を上げます。
さらに、ビジネスデータの収集・分析を通じて意思決定に活用することで、戦略的な判断のスピードも向上するでしょう。
社内DXを推進する目的
社内のDX化を進める目的は、主に以下の4つです。
【全社的なDXの推進】
企業全体でDXを進めることは、競争力の維持や強化に繋がります。
これにより、新たなビジネス機会を追求し、市場の変化に柔軟かつ迅速に対応できる企業文化が形成されます。
【業務効率化・生産性向上】
社内のDX化により、従来の業務プロセスを見直し、自動化や効率化を図ることができます。
これにより、業務効率が上がり生産性が向上します。その結果、従業員はルーティンワークに時間を取られることが減り、より価値ある業務に集中できるようになります。
【働き方改革の推進】
リモートワークや柔軟な働き方が求められる現代において、社内DXは働き方改革を推進する役割を果たします。
デジタルツールやクラウドサービスの活用により、場所や時間に縛られない柔軟な働き方が可能となるのです。
これにより、従業員のワークライフバランスが改善し、優秀な人材の獲得や離職率の低下につながるでしょう。
【BCP(事業継続計画)対策】
社内DXによる業務のデジタル化やクラウド化は、災害時や緊急時においても業務の持続性を確保するための重要な手段です。
データのバックアップやクラウド上での業務遂行が可能になることで、事業継続計画の一環としての効果的な対策が実現します。
日本の社内DX推進状況
コロナ禍の影響でリモートワークが一般的になり、これを支えるデジタルツールやクラウドサービスの導入が増え、国内企業の社内DXが進みました。
しかし、「世界デジタル競争力ランキング2023」(スイスのビジネススクールIMD発表)によると、1位アメリカ、2位オランダ、3位シンガポールに続き日本は32位に位置し、前年の29位よりも下落。2017年の調査開始以来の過去最低となっています。
デジタル後進国とされる日本企業ですが、大手企業やIT分野に強い企業は、社内DXに積極的に取り組んでいます。これにはITシステムの近代化やビッグデータの活用、クラウドサービスの導入などが含まれます。
一方、中小企業の中には、業界や特性に応じてDXを進める事例が増えていますが、導入が進んでいないケースもまだ多く見られます。
社内DXが進まない要因
以下のような要因が、社内DX推進の妨げになっている現状があります。
【DX人材の不足】
DX推進には技術力が不可欠ですが、新しいテクノロジーやツールに対するスキルが従業員に備わっていない場合があります。
IT分野に強い人材を採用しようとしても、デジタル分野の市場は競争が激しく、適切なスキルを持つ人材を確保することは難しいです。
解決策としては、外部の専門家やコンサルタントを活用し、社内外の知見を組み合わせて効果的なスキルアッププログラムを構築することが考えられます。
【経営層のDXへの理解不足】
DXは単にツールやシステムの更新ではなく、ビジネス戦略の一部であるべきです。
しかし、経営層がDXを技術の導入としてのみ捉え、組織戦略に結びつけていない場合があります。
経営層はDXのビジョンや将来のリターンを具体的に理解する必要があり、投資対効果(ROI)を明確に示し、将来のビジョンを共有することが重要です。
社内DXの進め方
社内DXは、次のステップを押さえて進めると成功率が上がるので、参考にしてみてください。
【社内DXの目的を明確にする】
最初に、社内DXの具体的な目的を定義することが重要です。
例えば、業務プロセスの効率化、新しいビジネスモデルの構築、顧客サービスの向上などが考えられます。これにより、全体の方向性が明確になり、社員の意識を統一できます。
【現状の課題を把握する】
現行の業務プロセスやシステムを詳細に分析し、改善の余地がある箇所や問題点を特定します。
現場の実状を把握するためには、関係者や現場の社員からのフィードバックを収集し、実態を理解しましょう。
【DX人材を採用・育成する】
DXプロジェクトを進めるためには、エンジニア、ビジネスアーキテクト、データサイエンティスト、サイバーセキュリティの専門家など、デジタル技術に精通した人材が不可欠です。
社内スキルの向上を図るためには、外部からの採用や社内研修プログラムの提供などを検討します。
【社内DXを推進するツールを導入する】
DXプロセスを効果的に支えるため、以下のようなツールやテクノロジーを導入します。
●ワークフロー管理ツール
●プロジェクト管理ツール
●ビジネスチャットツール
●クラウドサービス
これらのツールは、効率的なコミュニケーションやプロジェクト進捗の可視化に役立ちます。
社内DXを成功させるポイント
社内DX成功のためには、次の3点が重要です。
【経営層が積極的に取り組む】
DXの成功には、経営層のリーダーシップが不可欠です。経営陣がDXの重要性を理解し、積極的に推進する姿勢が成功への鍵となります。
ビジョンの共有やリソースの提供など、経営層のサポートがDXの成果に直結します。
【スモールスタートで進める】
大規模な変革よりも、小規模かつ具体的なプロジェクトから始めるのがおすすめです。
スモールスタートのメリットは、低リスクで組織全体が変革への適応力を身につけられる点です。成功体験を経験することで、徐々に大きな変革にも取り組むことが可能となります。
【社内システムを刷新する】
古いパソコンを使用しているなど、既存のシステムやプロセスが時代遅れの場合、刷新が必要です。
新しいテクノロジーの導入やクラウドサービスの活用などを検討し、効率化や柔軟性を向上させましょう。データの統合やツールの利用が、業務プロセスの改革につながります。
社内DXに役立つツール
社内DXを推進する上で役立つツールを紹介します。企業のニーズや導入状況に合わせて選び、活用することが重要です。
【RPAツール】
RPA(Robotic Process Automation)は、定型業務を自動化するためのツールです。
RPAツールを使用することで、データ入力、ファイル操作、複雑な計算などの繰り返し作業を機械が行い、人間はより重要な業務に集中できるようになります。
【ビジネスチャットツール】
チームのコミュニケーションをうながし、業務効率を向上させるためのツールです。
リアルタイムなコミュニケーション、ファイル共有、プロジェクトの進捗管理などが可能です。リモートワーク環境においても、チームの連携を強化します。
【Web会議システム】
リモートワークが一般的する中、オンラインでの会議は不可欠です。
ビデオ会議や画面共有などが可能なWeb会議システムは、遠隔地にいるメンバーとのスムーズなコミュニケーションをサポートします。
これにより、会議のためにメンバー全員が出社して集まる必要がなくなり、移動時間や交通費の削減にもつながります。
【タスク管理ツール】
プロジェクト管理や業務の進捗状況を効果的に管理するためのツールです。
タスクの割り当て、期限の設定、プロジェクト全体の進捗確認が可能で、チーム全体のタスク管理を効率的に行えます。
スタッフごとの作業の進行状況が把握できれば、作業の振り分けなどもしやすくなり、業務をスムーズに進められるでしょう。
【経費精算システム】
経費精算システムは、経費申請・承認プロセスをデジタル化し、経理業務の自動化と効率化を促進するツールです。
デジタル化することで、経費精算の業務を迅速かつ正確に行うことが可能になるだけでなく、どこからでもアクセス可能になるためBCP対策にも繋がります。
まとめ
社内DXは、ツール導入を超えた業務効率化と生産性の向上のための取り組みであり、組織全体のデジタル化のスタートです。
効果的なDXのためには、部門ごとの急なツール導入を避け、コストを考慮しながら小規模から始めて段階的に進めるべきです。
また、組織全体で共通のビジョンを持ち、統一された目標に向かって取り組むことがセキュリティリスクの回避と効率的なDXの実現につながります。