ペーパーレスFAXとは?導入時のメリット・デメリットを解説
ペーパーレス化が進む現代において、紙を使用せずに電子データでファクシミリ通信を行う「ペーパーレスFAX」の導入は、企業にとって多くのメリットをもたらします。
その一方、導入にともなう課題や懸念事項も存在します。企業のニーズや状況に応じて、慎重に導入を検討することが重要です。
今回は、ペーパーレスFAXの導入におけるメリットとデメリットについて解説します。
ペーパーレスFAXとは
ペーパーレスFAXは、紙を使用せずにFAXを電子的に行うシステムです。
通常のFAXでは、紙に印刷された文書を送受信します。一方、ペーパーレスFAXでは、デジタルデータが電子的に送信され、紙を使用しないことが特徴です。
ペーパーレスFAXで受信されたデータは、電子的な形式で保存されます。これにより、外出先からでもFAXを確認できる、データ管理が容易になる、印刷コストの削減、業務効率の向上などのメリットが得られます。
ペーパーレスFAXの種類
ペーパーレスFAXには、以下の3種類があります。業務や環境に応じて適した種類を選ぶことが重要です。それぞれの特徴を解説します。
【複合機】
複合機は、通常の印刷やスキャン機能に加えて、FAX機能も搭載されたオールインワンのオフィス機器です。これにより、1台の機器で複数の業務をこなせます。
複合機を用いたペーパーレスFAXでは、デジタルデータをスキャンして直接送信することが可能です。
インターネットFAXと比較して安定した送受信が可能ですが、電話回線を利用するため通信料金が発生します。
【インターネットFAX】
インターネットFAXとは、通信回線を介してFAXを送受信する仕組みです。従来のFAX機と同様に、相手先のFAX番号にデジタルデータを送信しますが、これがインターネット経由で行われます。
このシステムは特別な機器を必要とせず、パソコンやスマートフォンからも利用可能です。
FAX機や複合機の設置が不要で、インターネット環境さえあればどこからでも送受信できます。
ただし、FAX番号が現在の番号から変更になることが多いため、事前の確認が必要です。
【クラウドFAX】
クラウドFAXは、クラウド上にサーバーを構築し、FAXの送受信を行うサービスです。ユーザーはクラウド上のウェブインターフェースを通じてFAXを管理し、送受信を行います。
専用のアプリケーションを使用するため、専用の機器を購入せずに済みます。どこからでも送受信可能で、必要な時に必要な容量だけサービスを利用できます。
ただし、送信できるデータ量が限られている、複合機のFAX送信と併用できないなどの場合があるので注意してください。
ペーパーレスFAXはこんな企業におすすめ
ペーパーレスFAXの導入は、現代のオフィス環境において重要な役割を担っています。
従来のFAXシステムは、オフィスに出社して紙に印刷して読み取る必要があるため、用紙代がかかり、外出先からの確認が困難でした。また、受信したFAXを仕分けする作業も手間がかかる作業です。
ペーパーレスFAXは、このような課題を解決したい企業におすすめです。
外出先やテレワーク環境からでも簡単にFAXの確認や送信が可能であり、用紙代や印刷代のコストも削減できます。
さらに、ファイリングや仕分け作業の効率化も期待できるため、日常的にFAXを多用する企業や、業務の効率化を目指す企業にペーパーレスFAXの導入は非常に有益です。
ペーパーレスFAXのメリット
ペーパーレスFAXには、以下のような4つのメリットがあります。
【外出先やテレワークでも確認できる】
紙ベースのFAXでは、わざわざ内容を確認しに出社する必要があり、移動に時間や手間がかかってしまいます。
一方、ペーパーレスFAXはデジタル形式で情報を送受信するため、外出先やテレワークの際でもパソコンやスマートフォンを通じて簡単にアクセスできます。
これにより、必要な情報をリアルタイムで確認し、スピーディーに対応することが可能です。
【業務を効率化できる】
ペーパーレスFAXでは、通信が瞬時に行われます。そのため、業務の素早い進行や重要な情報の即時共有が可能になり、意思決定プロセスが迅速化します。
さらに、ペーパーレスFAXはデジタルデータとして保存されるため、情報を検索しやすくなります。
デジタルアーカイブにより、大量のデータを整理し、必要な文書に早くアクセスできると、様々な業務を効率的に進められるでしょう。
【紙・インク代のコストを削減できる】
従来の紙ベースのFAXは、印刷に必要な紙やインクの購入コストがかかります。1年間で使用する紙の枚数が数十万枚にもなる場合もあり、これに伴うコストは膨大です。
また、紙やインクが切れたら交換しなければならず、そのたびに業務の手を止めなければいけません。
しかしペーパーレスFAXでは、これらのコストが大幅に削減されます。電子的なやり取りにより、紙の使用やその他の関連コストが削減され、環境にも優しいです。
【セキュリティ対策になる】
ペーパーレスFAXでは、基本的に以下のようなセキュリティ対策を利用できます。
●通信の暗号化
●アクセス権の制御
●ログの追跡と監査
●多要素認証
●物理的なセキュリティの不要
これらの対策により、ペーパーレスFAXは機密情報を保護し、企業が法規制やコンプライアンスに対応する手助けとなります。セキュリティを重視したビジネス環境でのペーパーレスFAXの導入は、情報の安全性を確保する一環となります。
ペーパーレスFAXのデメリット
ペーパーレスFAXには、以下のような注意すべきデメリットも存在します。事前にこれらを確認しておきましょう。
【専用サービスの契約やソフトのインストールが必要】
ペーパーレスFAXを導入する際、専用のサービスプロバイダーと契約する必要があります。この契約には月額や年額の利用料が発生することがあり、追加のコストが発生するかもしれません。
また、一部のペーパーレスFAXサービスは、専用ソフトウェアのインストールが必要です。これには、システムへのアクセスや権限が必要で、企業内のすべてのデバイスで設定が必要など、導入時に手間がかかることもあります。
【業務フローの見直しが発生する場合がある】
ペーパーレスFAXの導入には、従来のFAXとは異なるデジタルプロセスへの変更が伴います。そのため、業務プロセスやワークフローの見直しが必要になる場合があります。
従業員が新しい手順やポリシーに慣れるまで、時間がかかることが予想されるでしょう。
既存の業務システムやツールとの統合が必要な場合は、調整やカスタマイズも必要です。これには追加の開発コストや時間がかかる可能性があります。
【手書き資料の送信には手間がかかる】
手書き資料をデジタルフォーマットに変換するためには、スキャナーやデジタルカメラを使用して資料を撮影・スキャンし、適切なフォーマットに変換する作業が必要です。
しかし、手書き文字は認識エラーになることもあり、修正には手間と時間がかかります。
また、手書き資料はテキストよりもファイルサイズが大きくなる傾向があります。そのため、送信に時間がかかったり、ファイルサイズが大きすぎる場合は、送信が制限されたりすることもあるかもしれません。
【自動保管するには常時電源を入れておく必要がある】
ペーパーレスFAXはデジタルデータを受信し、保存・管理するためのサーバーやデバイスが常に稼働している必要があります。そのため、自動保管するには常に電源をオンにしておく必要があるのです。
常時電源を入れておくことにより、一定の電力消費が発生し、電力料金がかさむ可能性があります。
また、電源障害やハードウェアの故障に備える場合は、追加のコストや管理も必要です。
まとめ
ペーパーレスFAXの導入は、業務効率化やコスト削減などのメリットをもたらします。
受信したFAXをPDF形式でデータ化し共有フォルダに保存する機能を持ち、インターネット環境があればいつでも送受信可能です。
これにより、印刷費や資料の仕分け作業の手間、テレワークや外出先でのFAX業務の可能性を広げます。
従来のFAXに不便を感じている方は、ペーパーレスFAXの導入を検討してみてはいかがでしょうか。