ペーパーレス化の推進方法!手順や注意点、お役立ちツールを紹介
今、紙の書類をなくし、「ペーパーレス化」を進める企業が増えています。
紙の文書や資料を電子データにすると、情報を検索しやすくなる、どこにいてもパソコンやスマホなどのデバイスから確認できるなど、業務効率化になるメリットがあります。在宅勤務やテレワークでは、このようなデジタル化が特に重要です。
ペーパーレス化の実現には、導入するツールやシステムを選んだりする必要があります。そこで今回は、ペーパーレス化の推進方法やその手順、注意点、お役立ちツールを紹介します。
ペーパーレス化の推進方法【6つのステップ】
ペーパーレス化をするには、次の6つの段階を踏むことで、スムーズに進められるでしょう。段階ごとに説明します。
【1.目的を明確にする】
最初に、ペーパーレス化する目的をはっきりさせると、従業員全員の理解を得やすく、社内全体で取り組めます。目的に合うツールの選び方や進め方を選ぶことで、途中で反対の声も出にくくなり、スムーズに電子化できるでしょう。
ペーパーレス化の目的には、例えば以下があります。
■業務の効率化
■テレワーク対応
■コストカット
■セキュリティ対策
など、紙をやめることで自社にどんなメリットがあるのか、実現したいことは何か、という点から考えてみてください。
【2.対象の文書や業務を決める】
次に、電子化する書類を絞ります。紙保存が必須である一部の特殊な書類を除き、以下のような多くの書類が対象になります。
■会議などの資料
■請求書や契約書
■業務マニュアル
■取引先や顧客へのパンフレットや紹介資料
■帳票類
■様々な説明書や記録文書
対象の書類が決まったら、目的に合わせてペーパーレス化の優先順位を決めます。目的が業務効率化なら、社外から閲覧することもある資料から。コストカットなら、コストの高い文書から着手するなどです。
【3.ツールやシステムを選定する】
今は、ペーパーレス化に便利な様々なツールやサービスがあります。
使いにくく目的にも合わないツールを選んでしまうと、業務効率が上がるどころか、下がってしまうこともあります。次のようなポイントをチェックし、自社に合うツールやシステムを選ぶことが重要です。
■目的に合っているか
■自社の課題解決に有効か
■従業員のITのレベルに合っているか
無料お試しができる場合は、必ず試用してみてください。
どのツールが合うかわからない場合は、IT導入支援サービスの利用で、第三者のプロの視点で選定してもらえます。
【4.運用ルールを策定する】
トラブル防止のため、従業員全員が守れるルールを決めてから、運用をスタートします。
例えば、紙と電子の使い分け、オンラインで共有する資料の種類、オンラインストレージに保存するファイル名のつけ方などです。
また、各税法で保存が義務付けられている帳簿などは、電子帳簿保存法についても確認します。書類ごとにセキュリティなどの要件が決まっているので対応しましょう。
【5.従業員に周知し、運用を開始する】
ペーパーレス化では、慣れた業務フローが変わることがあります。そのため、将来的なメリットなどを現場の従業員に説明し理解してもらい、ストレスにならないようにすることも大切です。
紙の書類に抵抗がある従業員の多い会社では、特に丁寧に周知し、納得を得る必要があります。
また、取引先など社外とやり取りする書類の電子化では、ツールの変更などがあることを事前に伝えます。
【6.ペーパーレス化の効果を検証し、改善する】
運用開始後は、ペーパーレス化したことの効果を、数値やレポートにまとめて検証するのがおすすめです。それを元に課題をあぶり出し、費用対効果を上げ、むだを省き改善していくと、さらなる効率アップを目指せます。
また、運用の結果を目に見える形にして定期的に社内に共有すれば、協力も得られやすくなり、ペーパーレス化をより進められるでしょう。
ペーパーレス化を進める際の注意点
次のような4つのポイントに気をつけると、トラブルなくスムーズに進めやすくなります。
【システム障害のリスクに備える】
電子文書、特にクラウドサーバーに保存しているものは、システム障害が起きると見られなくなる場合があります。
対策として、複数のシステムにバックアップを保存する、重要な書類は紙でも残しておくなどが有効です。障害が起きたら、バックアップへすぐにアクセスできるようにしておくことが大切です。
【取引先の電子化対応について確認する】
取引先に関係する書類(契約書、請求書など)や、電子署名・電子契約システムの採用については、トラブルを防止し信頼関係を維持するため、事前に取引先の対応状況を確認します。
ペーパーレス化で、取引先が業務手順などを変更しなければならないこともあるので、必ず説明し、理解を得てもらいましょう。
【従業員のITリテラシーを高める】
ペーパーレス化と同時に、従業員がITを使いこなすスキルを上げる必要があります。
これは、従業員全員がデバイスやツールの使い方を覚え、セキュリティ対策をしっかり行うためです。
ITリテラシーが低いままペーパーレス化すると、業務効率が上がらなかったり、情報漏えいなど企業の信頼に関わるセキュリティ事故が起きたりする可能性があります。
そのため、研修などでITリテラシーを上げるのが大切です。社内にITリテラシーの高い従業員がいない・研修を実施できない場合は、外部のIT導入サポートに依頼する方法もあります。
【ペーパーレス化できない書類もある】
法的にもペーパーレス化が進められているので、電子化できる書類のほうが圧倒的に多いですが、以下のような書類は、現在の法律では電子化できないため注意してください。
■特定商取引法における重要事項説明書
■クーリングオフ書面
■事業用定期借地契約書など不動産関連の書類
中には、互いが承諾すれば電子化OKの書類もあり、法改正も頻繁に行われています。法律に沿っていない方法で電子契約をしてしまうと、無効になることもあります。ルールがわからない場合は、ペーパーレス化や法律に詳しい専門家に確認する方法もあります。
ペーパーレス化に役立つおすすめツール
ペーパーレス化をする際に便利なツールをご紹介します。様々なツールを比較検討し、自社に最適なツールを選んでください。
【ビジネスチャット】
テキストでのやり取りやファイル共有、タスク管理、ビデオ通話など、業務効率がアップする様々な機能が使えるチャットです。
従来のメールでのやり取りに比べ、1対1だけでなくチームごとのグループが社内外で作れ、どのデバイスからでもリアルタイムにコミュニケーションできます。
容量が大きいファイルも送れ、紙を印刷して手渡す手間がありません。履歴も簡単に確認でき、スピーディーに仕事ができます。
おすすめツール
■Chatwork
■Slack
■Microsoft Teams
【オンラインストレージ】
クラウド上にデータを保管できるのがオンラインストレージです。場所やデバイスの制限なく、インターネットに繋がっていればどこからでもファイルを閲覧・アップできます。ファイルの分類や検索も簡単で、効率アップにつながります。
また、ハードディスクなどでの保存に比べ、破損や紛失のリスクがありません。バックアップの自動保存も便利です。使うデータに合わせて容量プランを選べるので、大量の書類の保管に場所を取られません。
さらに、アクセス権を設定すると、機密情報などを閲覧できる人物を制限でき、セキュリティ対策も可能です。
おすすめツール
■Google drive
■OneDrive
■Dropbox
【Web会議ツール】
インターネット環境があれば、どこからでも会議ができるツールです。テレワークの普及で一気に利用者が増えました。
ミーティング中に、チャットへの投稿や資料の共有もできるので、打合せや商談で全員に紙の資料を配って説明する必要がなく、ペーパーレス化につながります。
Web会議ツールではビデオの有無を切り替えでき、音声のみの参加も可能です。録画もでき、不参加でも後から見られるため、情報の共有漏れを防げます。
おすすめツール
■Zoom
■GoogleMeet
■Skype
【勤怠管理ツール】
従業員の出勤・退勤の打刻や合計労働時間の確認、休暇の申請などをインターネット上で行い、勤怠管理ができるシステムです。こちらも、テレワークの開始に合わせて導入する企業も多いです。
出勤簿やタイムカードを紙で用意する必要がなく、ペーパーレス化に有効です。勤務時間を正確に把握して、法律で決められた時間の基準を守りながら、柔軟な働き方に対応できます。
また、経理業務などの効率化のため、給与計算システムなどと連携できるツールや、特定業種に特化したツールもあります。
おすすめツール
■ジョブカン勤怠管理
■KING OF TIME
■HRMOS勤怠
【電子契約システム】
契約書など、社内や取引先で捺印や署名が必要な重要書類の契約締結ができるシステムです。電子署名法により、要件をクリアした電子契約も法律的に有効となり、電子契約システムの需要が増えました。
印鑑を押すために出社することや、印刷し封筒に入れてポストへ投函しに行くといった郵送の手間を省け、場所は関係なくスピーディーに承認や決済ができ、効率的です。
おすすめツール
■クラウドサイン
■GMOサイン
■Adobe Sign
まとめ
在宅勤務やテレワークが進む今の時代に、ペーパーレス化をしていないと、紙の資料を確認するために出社するといった非効率的なことが起こってしまいます。
「パソコン操作が苦手な社員が多い」など、ペーパーレス化に課題がある場合は、外部のIT支援サービスに協力を依頼する方法もあります。
ペーパーレス化が定着するまで、一時的に手間は増えても、先々のメリットは大きいです。ぜひスムーズな方法を選んでみてください。