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納品書を電子化する方法と注意点

2024.06.14 コラム

納品書を電子化する方法とは?メリットと注意点、電子帳簿保存法への対応

納品書は電子化することで、情報をデータベースに保存し、電子的に管理することが可能になります。

電子化には、スペースを節約できるなどのメリットがあります。その一方、注意点も存在するため、適切な対策を講じることが重要です。

ここでは、納品書を電子化する方法について、メリットと注意点、電子帳簿保存法への対応を解説します。

納品書は電子保存できる

納品書とは、企業の取引において商品やサービスを納品する際に送付される書類です。2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、一定要件を満たすことで電子保存できるようになりました。

電子保存とは、紙の文書をスキャンしデジタル化することにより、電子ファイルとして保存することを指します。

この法改正により、電子保存のハードルが下がり、電子化を進める企業が増加することが予想されます。

電子データによる納品書の保存方法

電子データによる納品書の保存方法は、主に次のようなやり方があります。


【電子帳簿保存法の保存要件】


納品書は次の3種類に分けられ、それぞれ保存要件があります。

■インターネットを介した電子取引で受領した納品書

PDFなどの納品書は、電子データのまま保存します。電子帳簿保存法の改正前は、プリントアウトしての保存も許されていましたが、改正後は電子データでの保存が必須です。

■取引先から受領した納品書

紙のまま、または電子データとして保存するかの選択が可能です。電子データで保存する場合、受け取った紙の納品書をスキャンして保存します。

■自社で作成した納品書の控え

紙のまま、または電子データとしての保存を選択できます。電子データで保存する場合、使用するスキャナが電子帳簿保存法で定められた規程を満たすなど、一定要件をクリアする必要があります。


【スキャナ保存の要件】


スキャナで保存する際は、画像の鮮明さを確保するために、解像度を200dpi以上、カラー画像は各色256階調以上で保存する必要があります。

さらに、取引時刻や文書の存在した日時を証明するための「タイムスタンプ」の付与が求められます。これは、データが改ざんされていないことを証明するために役立ちます。

保存したデータは容易に検索できるよう、適切に管理しておくことが重要です。


【電子取引の保存要件】


電子帳簿保存法に基づいて、保存されたデータの完全性と真実性を保証するための措置を講じる必要があります。タイムスタンプの付与も必要です。

データが改ざんされていないことを確認し、必要に応じてデータの訂正や削除を行う際には、その過程が記録されるシステムを導入することが重要です。

これらの要件を満たすことで、電子データによる納品書の保存と電子取引の記録が法的要件を遵守し、データの信頼性とセキュリティを確保するのに役立ちます。

納品書を電子化するメリット

納品書を電子化することで、企業にとって次の4つのメリットがあります。

【業務効率化につながる】


電子化された納品書はデジタル形式で管理されるため、パソコンやタブレットを使っての検索や参照がしやすくなります。

従来の紙の書類では、修正が必要になったときなど様々な手間が発生しますが、電子データであればスピーディーにアクセス可能です。仕入管理のデータ入力作業などもなく、業務プロセス全体の効率化が図れます。


【コストを削減できる】


紙代やインク代、郵送費用、長期保管に必要なスペースや備品の購入などのコストを削減できます。

また、電子納品書は即時に送信・受信が可能で、誤りがあった場合の訂正も迅速にできるため、時間の節約にもつながります。

初期のシステム導入費用は発生しますが、長期的には紙ベースの管理よりもコスト削減が可能です。


【書類の紛失や劣化を防げる】


紙の納品書は、人的ミスや災害などで紛失したり劣化したりするリスクがあります。

一方、電子化されたデータは安全なデータベースやクラウド上で保管されるため、紛失や劣化のリスクを軽減します。


【人為的ミスを減らせる】


人間の行う作業は、その日の体調などにも左右され、どうしても一定のミスが発生してしまいます。

電子化により、手作業での書類管理やデータ入力に伴う人為的ミスを減らせます。電子化されたデータは自動化されたプロセスによって処理されるため、エラーの可能性が低くなります。

納品書を電子化する際の注意点

納品書を電子化するときは、以下の4つの点に気をつけてください。

【運用フローを整える】


適切なプロセスや責任者を明確にし、データの収集から保存、アクセス権の管理までを統一し、運用フローを整えることが重要です。

例えば、電子化された納品書の受領、保存、検索、更新、保管、削除などのプロセスをマニュアル化し整理してください。

これにより、データの整合性やセキュリティが確保され、効率的な運用が実現するでしょう。


【セキュリティ対策を徹底する】


パソコンのウイルス感染や盗難などで情報漏えいしてしまうと、企業の信頼を落とし、回復にも時間がかかります。

データの保護と機密性を確保するために、適切なアクセス管理や暗号化技術を導入し、不正アクセスや情報漏えいを防止する体制を整える必要があります。

また、定期的なセキュリティ対策の点検や更新を行い、新たな脅威に対応する体制を整えることも重要です。


【取引先企業との調整が必要】


電子化を進めるにあたっては、その方法や形式、データの送受信方法などについて、取引先との合意を得る必要があります。

特に、受領した納品書を電子化する際の方針や手順について、取引先との間で明確な取り決めを行うことが大切です。

また事前に、取引先が電子化に対応しているか確認してください。


【電子帳簿保存法の要件に沿って保存する】


電子帳簿保存法には、電子データの保存に関する様々な規定が定められています。

納品書を電子化する際には、この法令に準拠したデータの保存方法や形式、保存期間などを適切に設定し、法的要件を満たす必要があります。

これには、適切なシステムやソフトウェアの導入、保存データの適切な管理、定期的なバックアップの実施などが含まれます。



【受領側】納品書を電子化する方法

以下の方法を適切に組み合わせることで、納品書の電子化と効果的な管理が可能になります。ただし、選択した方法が企業のニーズに合っているか確認することが重要です。

【スキャンしてデータ化する】


紙の納品書をスキャナで読み取り、デジタルデータに変換する方法です。スキャンした画像はPDFや画像ファイルとして保存し、必要に応じて管理システムへアップロードします。

この方法は、手軽に導入できることがメリットです。一方、スキャン作業に時間がかかることや、手作業によるミスが発生する可能性があるので注意が必要です。


【OCRツールを利用する】


文字認識技術のOCR(Optical Character Recognition)ツールを使用して、納品書の画像からテキストデータを抽出します。

OCR技術は画像内の文字を認識し、テキストデータに変換できるため、手入力に比べて効率的にデータ抽出が可能です。

ただし、画像の品質や文字の書体によって認識精度が変わることがあるので、自社に合うツール選びが大切です。


【外部にデータ化を委託する】


納品書のデータ化を専門のデータ入力サービスやデジタル化業者に委託する方法も選択肢のひとつです。

これにより、自社での作業にかかる手間や時間を大幅に削減でき、スタッフがより重要な業務に集中できるというメリットがあります。

ただし、外部委託の際はそれに伴うコストや、情報漏えいのリスクを考慮する必要があります。

【発行側】納品書を電子化する方法

納品書を発行する側の電子化の方法は、主に2つあります。企業のニーズや予算に応じて選んでください。


【WordやExcelで作成する】


業務で日常的に使用しているWordやExcelなどのオフィスソフトを利用することで、新しいツールを導入する手間やコストを削減できます。

具体的には、WordやExcelで納品書のテンプレートを作成します。このテンプレートには、取引先の情報、商品の詳細、数量、価格、合計金額などの必要な情報を含めてください。納品書のテンプレートはMicrosoftからも提供されています。

このテンプレートを用いて、新しい納品書を作成し、各取引先や注文に応じて情報を入力します。


【電子化ツールを導入する】


専用の電子化ツールや経理システムを導入します。これらのツールは、納品書の自動作成や管理、データベースへの保存をサポートします。

ツールを使用すると、取引先や商品のデータを事前に登録しておき、それを基に納品書を自動的に生成できます。また、生成された納品書はデジタル形式で保存され、検索や閲覧が簡単です。

さらに、電子化ツールは納品書の管理に特化しており、作成履歴や承認履歴の追跡、自動通知機能など、様々な便利機能もあります。

頻繁に納品書を作成する、大量のデータを処理する企業にとって、電子化ツールの導入は特に大きなメリットをもたらします。


まとめ

納品書を電子化する方法やメリット、注意点、そして電子帳簿保存法への対応をご紹介しました。

納品書の電子化は、取引の明確化と経理作業の効率化に役立つだけでなく、2024年1月からの電子帳簿保存法の改正にも対応します。

電子保存による業務効率の向上、コスト削減、ミスの軽減は明らかです。ペーパーレス時代を迎える今、納品書の電子化はもはや選択肢ではなく、必須の取り組みとなります。

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