書類をデータ化する3つの方法!メリットやデメリット、進め方を解説
現代では、ペーパーレス化やテレワークの普及、電子帳簿保存法の制定など、様々な要因が絡み合い、書類のデータ化が急速に進んでいます。
電子化による影響は、紙文書の使用を減らすだけではありません。情報共有が容易になることや、AI-OCRを利用したスキャンによる業務効率化など、企業にとって数多くのメリットがあります。
しかし、企業の中には、データ化の具体的な進め方や相談先がわからないというケースもあるようです。
この記事では、書類をデータ化する3つの方法とメリット・デメリット、および進め方について解説します。
書類をデータ化する方法
次の3つの方法で、書類をデータ化できます。それぞれのメリット・デメリットを把握しておき、自社に合う方法を選ぶことが重要です。
【コピー機・複合機を使用する】
社内に置いてあるコピー機・複合機のスキャン機能を使う方法です。普段から使い慣れている機械を使うので、特に手軽な方法といえます。
メリット
・使い慣れた機械なので操作がしやすい
・コストがかからない
デメリット
・大量の書類をスキャンするための機械ではないため、書類が多いと手間と時間がかかる
・スキャンできない書類もある(厚みがある、A2以上の大きなサイズなど)
【スマートフォンのアプリを使用する】
OCR機能の備わったアプリをスマートフォンにインストールし、カメラで撮影することでデータ化する方法です。無料で使えるアプリも多数存在します。
以下のようなアプリがあります。
Adobe Scan(Adobe社):AIによる鮮明なスキャンで、自動的にテキストが認識されます。PDFの他にJPEG形式での保存にも対応しています。
Microsoft Office Lens(Microsoft社):読み取った文書を、PDFだけでなく、Word・PowerPoint・Excelにも出力できます。
メリット
・PDFなどに簡単に変換できる
・外出先で使いやすい
・スマホやタブレットが複数台あれば、複数のスタッフで作業できる
デメリット
・1枚ずつ撮影するので、書類が多い場合、手間と時間がかかる
・うまく撮影できないと見にくくなってしまう
【スキャン業者への外注する】
文書のデータ化専門のサービスに依頼する方法です。業者の規模は幅広く、数千人ものスタッフを抱える大規模な業者から、数名のスタッフによる小規模な業者までさまざまです。
業者を選ぶときは、見積もりをしっかり取り、OCR処理などオプションサービスの有無や取り扱える書類の種類、こちらで必要になる作業内容、セキュリティ対策や保有資格、口コミを確認しましょう。
メリット
・書類のデータ化に特化した技術と体制があり、品質が高い
・大量の書類や、様々なサイズの書類もデータ化できる
・自社で行うよりコストダウンになる場合もある
・すべてまかせられるので、本来の業務に集中できる
デメリット
・情報流出など、セキュリティリスクがある
・費用がかかる(1ページ約3円〜10円)
書類をデータ化するメリット
書類のデータ化は、企業にとって次のような5つのメリットがあります。
【保管スペース・コストの削減】
データ化によって、紙の書類を保管するためのスペースが不要になります。オフィス内のスペース効率が向上し、コンパクトな物件に移転して賃料を下げられるなど、コスト節約にも繋がります。
その他にも、書類に関連する以下のような費用や作業をカットできます。
・プリンター関連(用紙・インク・メンテナンス)
・郵送関連
・シュレッダー、廃棄
・保管のためのキャビネットやファイル
削減した費用や労力を事業開発などに回すこともでき、企業成長も期待できるでしょう。
【情報を共有しやすくなる】
紙の書類があると、閲覧するために出社したり、コピーを取ったり、遠くにいる人へ共有する場合は費用と時間をかけて郵送したりしなければなりません。
一方、デジタルフォーマットの書類は、クラウドなどオンラインストレージに保管するので、必要な人々へ簡単かつ迅速に情報を共有できます。また、チャットツールやメールでの送信も容易です。
さらに、書類の同時閲覧も可能で、チームや部署間での連携がスムーズになり、効率アップできます。
【セキュリティ対策の強化】
データ化された書類は、ネットワーク上で簡単にバックアップを取れます。そのため、パソコンの不具合に備えられ、紙の書類を置き忘れて紛失するといった事態も防げます。
さらに、アクセス制御や暗号化を導入することで、閲覧可能な人を限定でき、情報のセキュリティを高めることが可能です。
電子文書のセキュリティ対策では、パスワード管理や誤送信の防止をしっかり行うことが重要です。
【検索性の向上】
データ化された書類は、キーワードやタグ、日時、作成者といった要素を活用して簡単に検索できるので、必要な情報を素早く見つけることができます。
検索性は、ファイル名の付け方をルール化するなどの工夫によって、さらに上げられるでしょう。
棚に並んだ大量のファイルの中から、わざわざ書類を目視で1つずつ探す手間がなくなるので、業務効率が上がります。
【テレワークの推進】
ンラインストレージやクラウドを利用する場合、どこからでもアクセスできます。リモートワークや移動中の作業がスムーズに行え、テレワークが進むでしょう。
書類をデータ化していないと、書類確認や受け渡しのために出社が必要になります。
内閣府による調査によれば、「テレワークで感じた課題」について、「書類のやりとりを電子化が必要」が上がっています。
書類のデータ化によって発生するデメリット
書類のデータ化に取り組む前に、次のようなデメリットも確認しておいてください。
【視認性が低下する】
データ化した書類はパソコンなどの画面で閲覧されるため、一部の書類は電子化によって逆に見にくくなってしまうことがあります。
例えば、大きな紙に詳細な情報がまとめられている資料(建築図面、地図、組織図など)が該当します。この場合、紙の資料も併せて保管しておくことがおすすめです。
ただし、視認性が低下する書類はごく一部です。多くの企業では、データ化によるメリットのほうが上回るでしょう。
【データ化作業に手間がかかる】
書類のデータ化という新たな取り組みでは、慣れるまでに時間や労力がかかることは避けられません。
例えば、ホチキス留めやクリップでまとめられた書類が多い場合、それらを1つずつ外さなければなりません。
さらに、全スタッフが新しいフォーマットや閲覧方法に慣れるまで、調整期間が必要になるかもしれません。このため、新しい方法が定着するまでは、残業の発生など業務効率が下がる可能性があります。
こうした課題を解決するために、段階的な導入や、スタッフへのトレーニングやサポートの充実が成功の鍵になるでしょう。
書類のデータ化の進め方
業務効率を上げるために、データ化を素早く完了したいですよね。次の手順で書類のデータ化を進めると、スムーズに進むでしょう。
【データ化する書類の選別】
最初に、「使用頻度」「利用者数」「リモートでの閲覧の必要性」などを基準にして、書類を絞りましょう。データ化によって業務効率が上がりそうな書類を選ぶことで、絞りやすくなります。
また、部署ごとにヒヤリングも行い、データ化が必要な書類のみを選び、余計な手間がかからないようにします。書類の量が多いと、この段階である程度時間がかかると考えておくべきです。
【データの保管方法の決定】
データ化した書類の保管方法を事前に決めておくことで、検索性が高まりスタッフ全員がスムーズに閲覧できます。例えば、次のような規定を作ってみてください。
・保管場所(オンラインストレージ、HDD、自社サーバーなど)
・ファイル名の付け方
・ファイル形式(PDF、JPEG、PNGなど)
・書類のサイズ、解像度
・ファイルを保管するフォルダの場所、階層分け
・OCRによるテキスト化の有無
解像度を高くすると、保管場所の容量を圧迫し読み込み時間も長くなるので、200~400dpiが推奨されます。OCR処理をする場合、300dpi以上でないと精度が下がることがあります。
【書類をスキャンする】
書類の選別と保管方法を決定したら、スキャン作業に取り掛かります。
社内でスキャンを行う際の手順は、以下の通りです。
1. 書類をファイルから取り出す
2. ホチキスやクリップを外す
3. ジャンルごとに分類する
4. スキャンを行う
5. 決めておいたファイル形式に変換する
6. OCR処理を行う場合は実施する
7. ルールに従ってファイル名を変更し、決めた場所に保存する
8. データ化した書類と元の書類を確認
9. 書類を保管、または廃棄する
スキャン作業は、一括で行う方法や日々の業務の合間に少しずつ進めるなど、負担が少ない方法を選択してください。
大量のデータ化を早く完了しなければならないときは、スキャン業者への外注がおすすめです。
まとめ
書類のデータ化には多くのメリットがあり、コスト削減、業務効率化、従業員の労働時間の削減が期待できます。
適切にデータ化された書類は、オンラインストレージに保存することで、いつでもどこでも検索や参照が可能となり、関係者間での情報共有もスムーズに行えるでしょう。
必要に応じて代行業者の利用も検討してみてはいかがでしょうか。