書類をPDF化する方法!メリットや注意点を解説
紙の書類をスキャンして行う電子データ化では、PDFを採用する企業も多いです。
PDFファイルで保存すると、テキストや画像の印刷された文書そのままの内容を画面でも見ることができ、業務の効率化にもつながるでしょう。ペーパーレス化などの利点もあります。
そこで、書類をPDF化する方法について、メリットや注意点をわかりやすく解説します。
書類のPDF化が注目される理由
PDF(Portable Document Format)とは、データを紙に印刷したときの状態で保存ができるファイル形式です。パソコンやスマホといった異なる端末で開いても、同じ見た目で閲覧できます。
そんなPDF化は、書類の電子データ化に適しており、次の2つの理由から注目されています。
【ペーパーレス化の推進】
紙媒体を電子化し、データとして活用するペーパーレス化は、国も推し進めている取り組みです。
押印や書類確認のための出社、給付金手続きの遅延など、新型コロナ禍で国内のデジタル化の遅れが問題になりました。
新型コロナウイルスの流行を境に、政府が行う脱ハンコやDX(デジタルトランスフォーメーション)が、一般企業や組織にも広がり、コスト削減にもつながるペーパーレス化への取り組みが注目されています。
【電子帳簿保存法の改正】
電子帳簿保存法とは、請求書などの税務関係書類のデータ保存について定めた、国税庁の取り組みによる法律です。
この電子帳簿保存法が改正されたことで、電子取引の際、データで受け取った書類を紙に印刷して保存するのは不可となりました。電子取引とは、例えば「メールでの請求書の送受信」「クラウドでの納品書の共有」などのことです。
このため、紙で受け取った書類とデータ書類の別々での保管はしにくくなり、紙の書類のPDF化に注目が集まっています。
書類をPDF化する方法
書類をPDF化するための代表的な3つの方法が次のとおりです。自社に合ったやり方を選ぶことが重要なので、書類の量や予算を確認してから決めましょう。
【複合機でスキャンする】
スキャナー機能などがついた社内の複合機で書類をスキャンし、パソコンに取り込む方法です。
メリット
複合機はすでに社内にあることが多く、業務の様々な用途に利用できるため、低いコストで使えます。
スキャン作業が社内で完結するため、情報漏えいのリスクも低減されます。OCRツールも使える場合、手書き文字もデジタル化できるため、便利です。
デメリット
大量の書類のスキャンには、手間と時間がかかります。電子ファイルの管理作業なども発生するため、通常業務に影響が出ると従業員の負担になります。複合機でのスキャンは、使用頻度が少ない場合に向いています。
【スマホのアプリでスキャンする】
スキャンアプリを使用し、書類をスキャンする方法です。
メリット
スマホのカメラで撮影するだけなので手軽で、複数台のスマホで同時に作業できます。綴じられた書類でもスキャンしやすいです。
無料のアプリや、OCR処理が可能なアプリもあります。Adobeのアプリを使うと、PDF化も簡単です。
デメリット
1枚ずつ撮影するので、大量の書類のスキャンには向いていません。手ブレや影の写り込みにも気をつける必要があります。
【スキャン代行サービスに依頼する】
外部のサービスに料金を払ってスキャンしてもらう方法です。
メリット
書類を業者に渡すだけで、データ化したファイルが納品されるので、手間と時間がかかりません。大量の書類でも、迅速にデータ化できます。データの不備などもスキャンに慣れたプロの目でチェックしてもらえるので、社内でのスキャンよりも完成度が高いでしょう。
また、OCR処理やデータ管理も頼めるサービスなら、より手間を省け、業務に集中できます。大量の書類がある場合におすすめです。ホチキスなどで綴じた書類の扱いは業者によるので、確認してください。
デメリット
費用がかかる点です。しかし、社内でスキャンする場合も人件費がかかるので、書類の量や料金を比較検討してみてください。
書類をPDF化するメリット
書類のPDF化には、企業にとって次の4つのメリットがあります。PDF化の前に、ぜひ知っておいてください。
【コスト削減が見込める】
紙の書類の保管に必要な棚やスペースのコストは、データ化すれば不要です。
切手代などの郵送費や印刷にかかる用紙代、プリンターの管理費なども必要ありません。
また、郵送の準備や書類の管理にかかっていた時間も削減できます。
【書類が経年劣化しない】
紙の書類は、長い間保存するうちに変色などしてしまい、内容を読めなくなることがあります。
一方、電子データ化したファイルは、経年劣化とは無縁です。いつでも読みやすい状態なので、仕事に支障を与えません。
【書類の紛失リスクを抑えられる】
物質的なものは、置き忘れや誤って廃棄したなどで紛失するリスクがあります。予備の書類を保存したくても、大きなコストがかかります。
一方、電子データ化ではバックアップを簡単に取れるので、紛失に備えられます。もしパソコンを失くしても、クラウドなどに保存されたデータがあれば問題ありません。
【社内で共有しやすい】
社内に置いてある紙の書類は、他の人が使用中だと仕事がストップしてしまいます。書類確認のために、わざわざ出社する必要も出てきます。
PDF化した書類なら、インターネット上のクラウドに保存できるので便利です。時間や場所は関係なく、必要な時に社員がすぐ閲覧でき、業務のスピードアップになるメリットがあります。
書類をPDF化する際の注意点
紙の書類をPDF化する前に、以下の気をつけるべきポイントを必ず確認しましょう。
【慣れるまでに時間がかかる】
紙の書類に慣れている中、電子データ化を行うと、最初は手間が増えたと感じることがあるかもしれません。
PDF化の手順や保管のやり方、そして画面上の電子ファイルが読みにくいと感じるなど、慣れるまでに時間がかかることもあります。
効率的な管理のために、PDF化のマニュアルを作るのもおすすめです。
【セキュリティ対策が必要】
電子ファイルはパソコンやサーバーに保存するので、必ず情報漏えい予防に備えましょう。
クラウドストレージなどでのファイル共有は、アクセス制限をかけ、権限のある人のみが閲覧・編集できるようにします。
パソコンにはセキュリティソフトを導入し、パスワードを設定してウイルス感染や不正アクセスを防いでください。
メールで書類を送るときは、ファイルへのパスワード設定や証明書発行などで暗号化する方法もあります。
【大量の書類をPDF化する場合は手間がかかる】
書類の量が多いと、すべてPDF化するまでに多くの労力と時間が必要です。
自社のスタッフのみで慣れないPDF化の作業を大量に行うと、他の業務に手を回せなくなり、残業が増えて負担がかかってしまいます。
量が多い場合は、外部のスキャン代行サービスなどの利用を検討してみてください。
まとめ
書類のPDF化に焦点を当て、方法やメリット、注意点について紹介しました。
2022年の電子帳簿保存法改正により、企業は書類の電子化を進めやすくなり、PDF化が求められる場面も増えています。
PDF化はコスト削減や業務効率化に役立ちますが、国税関係の書類などの適切な管理に注意が必要です。
そのため、電子化にストレスを感じる場合もあるかもしれませんが、PDF化は今後の働き方に必要不可欠です。
少しずつ書類のPDF化を進めてみてはいかがでしょうか。