手書き文字をデータ化する方法!OCRを利用するメリットやおすすめツール
請求書や申込書、アンケートなど、手書き文字の書類を使う企業は多いです。
紙に書かれた手書き文字は、スキャンし、OCR機能を使って文字を認識させることでデータ化できます。文字のデータ化には、業務効率の向上など、企業にとって多くのメリットがあります。
ただし、手書きの文字の認識は、印刷体と比べると認識率が低く、修正作業が必要な場合があります。このような性能は、OCRのサービスや機能によって異なるため、導入前の確認が重要です。
ここでは、手書き文字をデータ化する方法について、OCRを利用するメリットやおすすめツールを紹介します。OCRの導入を検討の際は、ぜひ参考にしてください。
手書きの文字をデータ化する方法
人の手で書かれた文字は、次の3つの方法でデータ化できます。それぞれ、特徴が異なるので説明します。
【手動で入力する】
書類を目視し、キーボードを使ってExcelなどのシステムに手入力する方法です。書類の量やデータ化の頻度が少ない場合は、手入力でも支障はないかもしれません。
§メリット
●書類の量が少ない場合、ツールを使うよりも早く完了する
●読みにくい文字や誤字、フォーマットや欄外の追記の有無は関係なく再現でき、完成度が高い
§デメリット
●書類の量が多い場合、時間と人件費のコストがかかる
●完了までの時間を予測しにくい
●ミスが起きることがある
●入力する人によって精度に差がある
【業者に依頼する】
文字のデータ化専門の代行業者を利用する方法です。大量の書類を短期間で処理しなければならないなどの場合に向いているでしょう。
§メリット
●プロの手で正確性・再現性の高いデータ化ができる
●納期を決められる
●書類の量が多いほど、コストが減る
§デメリット
●費用が高いことが多い
【OCRツールを利用する】
光学的文字認識の技術であるOCR(Optical Character Recognition/Reader)を使って、手書き文字をスキャンしてデータ化する方法です。
目視のチェックも必要にはなりますが、作業時間は大幅にカットできます。日常的にデータ化が必要で、業務効率化を図りたい場合はおすすめです。
§メリット
●業務効率が上がる
●AI-OCRなら、99%など高い精度で読み取れる
●他の業務に時間を使える
●人件費や残業代を減らせる
§デメリット
●導入コストがかかる
●自社に合う製品を選ぶ必要がある
手書きの文字をデータ化するOCR
OCR技術を使うと、印刷された文字や手書き文字をカメラやスキャナーで取り込み、解析してデジタルデータに変換できます。
このデータ化の仕組みは、画像の中から文字部分を自動検出し、その文字の形状を解析して、実際の文字への変換処理を行います。
OCRのメリットは、文字を高精度で認識できるため、大量の文書を効率的にデータ化できることです。その結果、データ入力の手間を省き、誤字や脱字など手作業で起きるミスを減らせます。
OCRツールは、読み取る書類によって次の2種類に分かれています。
一般文書向け:フォーマットが決まっていない文書(書籍など)の文章をデータ化し、検索などを可能にして活用できるようにするために使われます。
帳票類向け:フォーマットが決まっている文書(請求書など)のデータ化の手間を減らし、業務効率化に使われます。
最近では、スマートフォンで紙を撮影するとデータ化できるアプリもあり、手軽に利用できるようになっています。
【OCRの種類】
OCRのタイプとしては、次の2種類に分かれます。OCRのメリットを最大限活用するには、特徴と向いている利用シーンに合わせて、製品を選ぶことが重要です。
OCR | AI-OCR | |
---|---|---|
ポイント1 | 定型のパターンやフォーマットの認識率が高い | 文字を機械学習し、読み取りにくい文字があっても認識率が99%~と高い |
ポイント2 | 非定型フォーマットの読み取りには設定が必要 | 非定型フォーマットも読み取り可能 |
ポイント3 | AI-OCRより目視チェックの量が多いことがある | RPAと連携し、他の業務も効率化できる |
ポイント4 | 月額制が多い | |
データ化の方法 | 光学的文字認識 (画像データをスキャン→文字を抜き出し、データに変換) | AI(人工知能)技術で機械学習してデータ化する。データが多く集まるほど、認識精度が上がる |
利用シーン | 決まった文字パターンやフォーマットの書類のデータ化 | 様々なフォーマットの書類のデータ化 |
OCRツールを利用するメリット
OCRツールを使うと、次の3つのメリットがあり、組織内で抱えている課題を解決できる可能性があります。
【入力の手間を削減】
OCRツールを使うと、書類を人の目で見ながら1からパソコンに打ち込む必要がありません。スキャンしてアップロードするだけでデータ化され、短時間で作業が完了します。そのため、他の仕事にあてられる時間が増え、人件費も削減できます。
AI-OCRなら、事前設定の手間もなく、フォーマットがバラバラの帳票を自動で認識してデータ化できます。より手間を削減したい場合は、AI-OCRがおすすめです。
【書類の保管スペースを削減】
大量の書類は、ファイルなどにまとめて棚に収納することになります。すると、その分の広さのある部屋を用意することになり、事務所の家賃が高くなるかもしれません。保管スペースが足りなくなり引っ越しとなると、またコストがかかります。
そこで、OCRによるデータ化で、大量の書類も少ない容量で保存でき、物理的な保管よりも場所を取りません。その結果、管理コストを削減できます。
【検索や共有がしやすい】
データ化によって、内容の編集やコピー&ペーストが可能になるため、ビジネスの意思決定や分析に必要なデータをすぐに取得できます。
書類を1枚ずつ見ながら欲しい情報を手作業で探すよりも、効率的です。資料の作成や、社内・社外の人との情報共有が楽になるでしょう。
特にテレワークでは、情報をどこからでも閲覧・共有・編集できることが重要です。データ化すれば、インターネットやサーバー上で複数人が同時にファイルを編集できます。テレワーク業務のスピードアップには、データ化が必須とも言えます。
OCRツールの選定ポイント
OCRツールを選ぶときは、次の3つのポイントをチェックしましょう。OCRを最大限活用するために、自社の求めることや達成したいことと照らし合わせてみてください。
【文字の認識精度】
手書き文字を読み取る精度は、業務効率化において重要なポイントです。特に、手書き文字は、パターン化された印刷文字の認識よりも難しく、精度の高さが業務を左右します。
認識精度が低いと、正しく変換されず修正が必要となり、時間と手間がかかってしまいます。そのため、認識精度は90%以上のツールを選ぶことがおすすめです。
【目的や利用シーンを明確にする】
企業やチームによって、手書き文字をデータ化したい理由はそれぞれです。OCRのメリットを活かすには、目的をはっきりさせた上で導入しましょう。
例えば、以下を書き出してみるとよいでしょう。
●データ化する書類の種類(請求書、注文書、名刺、レシート、領収書、カルテなど)
●データの活用方法
●削除したいコストや時間の目標
●改善したい業務プロセス
これらを明確化することで、必要な機能の絞り込みができ、自社に合ったOCRツールを選びやすくなります。
【トライアル版で使用感を試してみる】
有料のツールでも、無料お試しできる場合があるので、まずは試してみてください。ツール選びでは、実際に使ってみることで違いや特徴がよくわかります。
実際に現場の担当者が、設定やスキャン、データの確認、文字列の指定、変換されたデータの確認や修正などの操作を行い、使いやすさやかかる時間を確認しましょう。
手書き文字のデータ化に役立つOCRツール5選
手書き文字のデータ化におすすめのOCRツールを5つ紹介します。自社の目的に合うツールを選ぶ際の参考にしてみてください。
PR【よみとる】
業界初の、紙・PDFからの文字抽出と、スキャンしたデータがコピー&ペーストできる、PDFからの文字起こしAI-OCRサービスです。
データ化の方法が、機械だけでなく「人力とAI-OCRの掛け合わせ」なので、文字再現100%と非常に高い数値となっています。データを投入するだけで、テキストデータを簡単に入手できます。紙の原本を預ける必要がないので、紛失リスクはありません。
特にポイントなのが、初期費用・固定費用・1年縛りがないことです。ユーザーが不満なく使えるサービスになっています。料金は、利用した分のみのカウントなので非常にわかりやすく、プランに縛られず必要な時に必要なだけ使えます。公式HPで料金シミュレーションができるので、参考にしてみてください。
他のAI-OCRサービス・入力代行サービスとの違いも公式HPで比較されているので要チェックです。導入事例も公開されています。
特徴
●文字再現率100%
●初期費用、月額固定料金、1年縛りなし
●1枚100円~利用カウントのみの料金システム
●トライアルあり
よみとる
【AIよみと~る】
NTT東日本のAI-OCRで、96.71%の読み取り精度を誇っています。RPAと組み合わせることで、稼働時間を半減でき、削減率の単純平均は61.69%となっています。
実際の操作イメージを動画で確認できるので、使用感がわかりやすいです。
また、AI-OCRでよくある事例や業務効率化の手法、ペーパーレス化推進を解説したガイドブックをダウンロードできるので、参考にしてみてください。
特徴
●読み取り精度96.71%
●直感的で使いやすいブラウザベースの画面
●初期費用なし
●小型~大型の3つの料金プラン
●トライアルあり
AIよみと~る
【AIスキャンロボ】
複雑なテーブルの読み取り機能、ユーザーが簡単にテンプレート作成できるインターフェース、テンプレート自動識別機能、複雑な段組の帳票も読み取り可能なAI-OCRです。特に、テンプレート設定に時間を取られないため、導入後の負担が少なくなっています。
全5ヵ国語に対応しており、外国語のデータ化が必要な場合にもおすすめです。導入企業やビフォー・アフター事例も公開されており、多くの大企業に利用されています。
特徴
●クラウドで常に最新のサービスを提供
●テンプレートの自動判別が可能
●トライアルは月3万円~
●無料読み取りテストあり
AIスキャンロボ
【CLOVA OCR】
メッセージアプリで有名なLINE株式会社のAI-OCRです。OCRの認識精度を競う世界的なコンペに参加しており、計6分野で世界No.1を獲得しています。
横書きや縦書きだけでなく、丸く湾曲して書かれた文字や傾いた文字など、悪条件下での読み取りも可能で、実際の例が公式HPに掲載されています。
クラウドアプリケーション、API、特化型OCRの3種類があり、用途に合わせて選ぶことが可能です。それぞれ料金が異なりますが、料金は1枚ごとの計算なので、ランニングコストを想定しやすいです。
特徴
●世界最高水準の認識精度
●世界的なコンペティションの計6分野で世界No.1を獲得
●1枚ごとの料金計算(50項目以内)
●初期費用なし
●30日のトライアルあり
CLOVA OCR
【DX Suite】
自社開発の文字認識AIです。業界最高水準の高い精度を誇り、常に精度向上に努めています。読み取り箇所の設定もマウスクリックで簡単に行え、高い操作性があります。
料金は、月々の利用量に応じた3つのプランが用意されています。初期費用なしのプランもあります。公式HPで料金シミュレーションできるので、参考にしてください。
特徴
●あらゆる非定型帳票に対応
●各種システムとの連携可能
●クラウド版、オンプレミス版から選べる
●高いセキュリティレベル
●トライアルあり
DX Suite
まとめ
手書き文字のデータ化について、OCRを利用するメリットやおすすめツールを解説しました。
OCR技術は、精度の向上や処理速度の高速化が進んでおり、ビジネス分野でも様々な場面で利用されています。業務効率をアップしたい場合は、ぜひ導入を検討してみてください。